【記事】「グレートレースに取材されるような大会に育ってほしい」 伊藤 吉昭(Team KOKAJI LEGEND) インタビュー

2020年はTeam KOKAJIとして出場し見事優勝、2021年はディフェンディングチャンピオンとしてKOKAJI LEGENDで出場、惜しくも優勝は逃したものの2位という成績をおさめた伊藤選手。

レースの中で心に残ったことや、実は20年来のライバルだったチームメイトとの関係性など、2年間トップ選手として大会に関わる伊藤選手ならではの視線から、アドベンチャーレースや大会に対する想いをお伺いしました。

〈 聞き手=まつもと(ゆるやま!)〉

元ライバル同士の3人が20年ぶりに手を結んだ

2021年大会の印象はどうでしたか?

伊藤 吉昭
Team KOKAJI LEGEND

第一回大会の少しゆるいイメージは打って変わって、スタートから突然羊蹄山登ることになったんでビックリしました(笑)ビックリはしましたが、きっと選手を楽しませようと作ってくれたコースだと思っています。実際に羊蹄山は天気もよく、景色はとてもきれいでしたね。

宿泊施設もオーチャードを1棟借りした、とても豪華で過ごしやすいものでしたし、アフターパーティーも豪華だったりと、レース以外の部分でも趣向を凝らした大会でとても楽しめました。参加費はぱっと見は少し高い印象はあるのですが、実際には価格以上の価値を感じれるくらい、満足度は高かったですね。

特に記憶に残っているセクションはありますか?

伊藤

一番印象深かったのは夜の川下りです。自分たちが通過したときはまだ明るかったんですが、それでも夕方に差し掛かっていて、そういう中でラフティングができる機会はまずないので楽しかったですね。

もちろん安全性は確保されてると思うんですけれども、まさかパドルセクションを夜に当ててくるとは思っていなかったので意外でした。その直前が羊蹄山の登り下りだったので、その疲れた体でナイトラフティングというのはなかなか過酷なレース設定だとは思いますが(笑)

左奥から三浦、大西、滝澤、伊藤(敬称略)

全体通してとにかく楽しかった!という超人のような方もいたり、対象的に過酷だった!という意見もあるのですが、伊藤さんとしては全体を通して楽しめました?

伊藤

めちゃくちゃ楽しかったですが、すごく疲れました(笑)特にナイトオリエンテーリングは厳しかったです。旧ゴルフ場がオリエンテーリングのテレインだったんですが、もう原野のような荒れ放題の藪だったので。

見通しが効かない深夜の草むらを進むので、メンタルをだいぶ削られましたね。ゆっくり回れるならまだしも急がないといけないし、時間が経つにつれて、夜明けに向けてだんだん周りが明るくなってくるわけですよ。みんないつまでここにいなきゃいけないんだろうって焦っていました(笑)

どのチームも大苦戦を強いられたナイトオリエンテーリング

お互いの役割がうまく機能したチームだった

2年連続でKOKAJIの名を背負って出場されていますよね。

伊藤

小鍛冶組の山中さんとはひょんなことからお知り合いになり、第1回大会からTeam KOKAJIとして出場させていただいています。

昨年まで大会のメインスポンサーをされていた小鍛冶組は、さまざまなスポーツ支援や地域貢献活動に積極的なことで知られており、この大会に参加する際にも快くTeam KOKAJIを作っていただき、思う存分レースに集中できたことは感謝に堪えません。

2021年大会のTeam KOKAJI LEGENDの皆さんとはどういう関係なんですか?

伊藤

三浦先生は一昨年も一緒に出ていますが、それ以外の2人はトレラン仲間のつながりで声をかけました。

大西さんはラフティングガイドで、それ以外にもマウンテンバイクなどのスキルをたくさん持った人です。女性の滝澤さんはオリンピック種目にもなった山岳スキー競技の日本選手権で優勝しています。アドベンチャーレースでトップを目指せるチームを作るということで、そういう技術を持っている人をチェックして声をかけさせてもらった感じです。

おそらく他のチームと比較して最も体育会系というか、ストイックな雰囲気は出ていたと思うのですが、楽しく面白おかしくやるというよりもレース集中することを優先して、そういう空気の中で行動できる人間が集まっていました。

滝澤さん以外の3人は、20年ぐらい前それぞれ別のチームでアドベンチャーレースに出場していて、お互いにライバル同士だったんですよ。大会で顔を合わせるたびに上位争いをしていたような関係だったのですが、その頃あったレースがなくなってしまったんですよね。

それが一昨年、新たなアドベンチャーレースが開催されるということで僕と三浦先生が出場して、去年は元ライバル同士の3人が20年ぶりに手を結んだ、という感じです。

チームメイトの中で役割の分担などはありましたか?

伊藤

三浦先生も大西さんも地図は読めるので、3人でずっとみていました。

やっぱり意見は分かれるんですけども、最終的には選択肢の中からひとつに絞って採用する感じでした。特に喧嘩になることもなく、むしろそれぞれの意見でいい具合に調整されてプラスに働いてましたね。お互いの役割がうまく機能していたと思います。

実は3人がライバル関係だった20年前、当時はうちの奥さんとアドベンチャーレースに出ていたことがあったんですよ。その時はチームワークというよりも「俺についてこい!遅いぞ」って感じになってしまって、ずいぶん嫌な思いをさせてしまい、レース中に喧嘩になることもよくありました。 チームワークは重要ですね!!

あと、2005年くらいに四国で開催されたアドベンチャーレースがあったんですが、それがお遍路道をMTBを押して延々と登らされて、暗くなっても全然終わらないというとんでもない大会でした。その四国大会の主催者は我部さん(レース運営会社Extremo代表)だったんですが、その我部さんがニセコアドベンチャーレースのコースディレクターと知ったときには背中が凍り付きましたね(笑)

複数人地図が読めるチームは心強いですね

オリエンテーリングを始めたのは中学生の時

オリエンテーリングを昔からされているとお聞きしていますが、始めたきっかけは何だったんですか?

伊藤

初めて大会に出たのは中学生の時です。当時の札幌市の広報誌にオリエンテーリング大会を開催します!というような記事が掲載されていて、なんとなく出てみたんですね。小学生のころボーイスカウトに入っていて、地図の勉強というか訓練というか、そういう知識を教えてもらっていました。

あんまり明確な理由は覚えてないんですけど、地図の知識はあるからちょっと力試し的な、レース出たらどうなるのかな?と思って出たのが最初だったと思います。

参加した大会の地図は全部取ってあるんですよ。たまに眺めたりして、いろいろ思い出したりしますね。

最近でも去年のオリエンテーリングセクションのコースセッター信原さん(北海道オリエンテーリング協会理事)の大会によく出ているんですよね。

伊藤

今まであまり真面目にやっていなかったので(笑)やらなきゃ駄目だなと思って参加するようになりました。大会を数多くこなして力量がつけたいと思ってます。

オリエンテーリングは当日申し込みもあるので、時間が空いた休日に気楽に楽しめるのもいいですね。

優勝を狙うストイックさもありつつ、終始元気なLEGENDの皆さんでした

ずっと継続されるような大会に育ってほしい

オリエンテーリング以外に何かアドベンチャーレースに向けて練習はされているんですか?

伊藤

出場が決まったら四人でアドベンチャーレースに向けた内容を組んで練習しますね。普段は個人で山を走ったりとかしていますが、マウンテンバイクの練習とかは全くしていないです(笑)

アドベンチャーレースは最終的には速さというよりはメンタルかなと思っています。眠いとか足が痛いってなったときに、どこまで粘れるかが最後は重要ですね。ただその粘りについてはどうやっても効果的な練習法はない気がして。寝ない練習とかってできないと思うので(笑)、どうやってそのあたりを鍛えればいいかはなかなか難しいですね。

20年前からアドベンチャーレースに出場されているとのことですが、NISEKO EXPEDITIONに対してこうなってほしい、といった希望はありますか?

伊藤

去年まではラフティングとマウンテンバイク、ランセクションのみだったと思うんですが、他に懸垂下降やホーストレッキングなど、いろいろな種目を取り入れてもらえたらなと思います。レースに想定外のことが発生してもそれに対応できる能力を求められるような、やったことがないことにチャレンジできるレースだともっともっと楽しめると思います。

非日常的な体験ができるようなものはスポーツの中でもアドベンチャーレースくらいで、こんなことやらせるの?といったぶっ飛んだようなこともできると思うんです。そういう魅力をどんどん出していけばもっと楽しめるんじゃないかなと。

あとはNHKのグレートレースに取材されるような知名度が出てほしいですね。アドベンチャーレースの火を消さずに、ずっと継続していってもらえるような大会に育っていってほしいなと願っています。

今年の大会でのご活躍も楽しみにしています!

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