【記事】若岡拓也 日本列島縦走の旅 〜100年後に残るような「日本の顔」となるトレイルを作りたい

2021年、山口県秋吉台から青森県八甲田山まで3000kmの道のりを踏破した若岡 拓也。Re: 日本山脈縦走と称して、本州をひとつの山脈に見立てて踏破。1959年に行われた「日本山脈縦走」にインスパイアされたものだった。

そして今年、若岡は新たに、日本列島を縦走する「Great Japan Trail」に挑む。北海道から沖縄まで、5,000kmを踏破してロングトレイルをつくる計画だ。

100マイルレース出場のため、都内を訪れていた若岡にインタビューを行った。高尾山を歩きながらの取材とあってか、終始リラックスした雰囲気。普段はあまり自分語りをしない彼の「挑戦にかける想い」を聞くことができた。

〈 聞き手=松本優規(ゆるやま!)〉

世界に日本のトレイルの魅力を知ってほしい

2年前は本州を南から北へと縦走しました。今回はさらに長距離とはなりますが、なぜ再び挑戦しようと思い立ったのでしょうか?

若岡 拓也

前回は元となるルートがあって、縦走隊が歩いた道をたどるというのがコンセプトでした。オリジナルルートを忠実に行こうとすると、本当は行きたいけど行けない山もあって、自由度という点では限られていました。そういう縛りなしでできるといいなと、うっすら思っていました。

また何か挑戦をやりたいなと考えていた時に、海外レースで知り合った選手から「日本にPCTみたいなロングトレイルないの?」と聞かれました。そういえば、国を縦断するようなルートがないや。だったらルートを引いて踏破すれば面白いと思い、計画しました。

確かに、海外には数百km、数千kmになるロングトレイルがありますね。

若岡 拓也

アメリカやニュージーランド、欧州、ヒマラヤなどには、国や地域を丸ごと体感できるロングトレイルがありますね。そうしたルートを歩くために、国外から訪れるハイカーもいます。

日本列島をつないでロングトレイルにして、海外のハイカー、ランナーにも踏破してもらえるといいなと思っています。

日本のトレイルの魅力ってなんだと思います?

若岡 拓也

変化に富んでいるところでしょうか。東西南北に長く伸びているので、地域によって山の表情が全く違っているところとか。

北にいけば、それほど標高が高くなくても森林限界を迎えたり、アルプスの高所に行けば、荒涼とした岩稜帯が続いたり、おだやかそうな里山でも入ってみたらびっくりするくらい藪が濃かったりとか。気候の影響でさまざまな顔を見せてくれます。

いろんな表情をみせるトレイルをひとつにすることで「日本の顔」となるようなロングトレイルができるといいなと思っています。

サポーターには「自分が主人公」となるような旅を楽しんでほしい

今回の旅では前回よりも広くサポーターを募っています。なにか心境の変化はありましたか?

若岡 拓也

本州を縦断していた時は、大掛かりにやる予定はなかったんですけど、最終的に延べ200人以上が現地でサポートしてくれたり、SNSやログを毎日見ている方もいました。自分の旅だけど、ひとりではなく、みんなで作り上げるものでした。関わってくれた方々も一緒に楽しんでくれていたのが印象的でした。お祭りみたいなものかなと。

今回はせっかくの祭りなら、はじめから大勢で盛り上がっていく方がより楽しめると思い、いろんな形で人を巻き込んでいけるようにしています。

サポーターや伴走者も募集していますが、こういう人に来てほしいなどありますか?

若岡 拓也

サポートや並走といっても、来てくれた方が主人公としてそれぞれの旅を楽しんでもらいたいです。

一緒に山に入る場合は、自分の力で下山できることが前提になります。ロード区間は条件は特にないですが、強いて言うなら熱中症になるまで頑張らないことです。

同じ時間を過ごせるのは一瞬かもしれませんが、その人自身の物語として全力で楽しみ、体験を共有していただけるといいですね。

一緒に走るのは無理という方でも、車で物資を運んだりするようなサポートや、道中の応援は前回と同じく募集しています。お会いできる日を心待ちにしています!

前人未到よりも「全人魅了」を目指したい

自分の旅を振り返って、何か感じることはありますか?

若岡 拓也

一昨年のRe : 日本山脈縦走をしている最中はその日できることをやるだけで、できることをやっていたら、結果的にできたという感じでした。

達成感はあまりなかったのですが、上高地の周辺から中央アルプスにかけてなど、自分で走ったルートを車で通りがかった時に、結構がんばって走ってたんだなあ、車でもけっこう長い距離をよく走ったなあと、そこで初めて実感できました。

前回の旅は十分に「偉業」に値すると思います。でも「前人未到」「過酷な旅」だとか、そういう発信の仕方はされてないですよね?

若岡 拓也

情報として押し出していくには大切な要素ですが、性格的に押せないだけです(笑)。ライターとして人を取り上げる時は、この人すごいなあと素直に書けますが、自分のことになると、ダメなところを知っている分そうは思えなくて。自分の中で面白ければ、よしとしています。やったことの評価はその情報を受け取った方にお任せします。

今回の縦走は僕が踏破して終わりではなく、その後、他の誰かに一部だけでもルートをたどってもらえたら嬉しいです。いろんな人がトレイルを踏み、ルートもどんどん変わって洗練されていくといいですね。

そして、100年後にも歩いている人がいたら面白いじゃないですか。名前なんかはなくても、トレイルが続いていれば。「前人未到」もすてきですが、「全人魅了」の道として、多くの人に親しまれてほしいです。まあ、その頃には生きてないから、見届けられないですね。

若岡 拓也

新聞記者を辞めて、ランニングを始める。3カ月後にアマゾンで行われたジャングルマラソン(275km)で完走。以後、国内外のランニングレースに出場するほか、2021年には本州をひとつの山脈に見立てて山口ー青森間をつなぐ「Re : 日本山脈縦走」(3,000km)を踏破した。石川県出身、住所地は福岡県だが、あまりいない。

≫ わかおかの山日記

Great Japan Trail 日本列島縦断 特設ページ (www.paagoworks.com)

PAAGOWORKSさんのWEB(www.paagoworks.com/pages/wakaoka-greatjapantrail)にて、若岡さんの旅の特設ページを公開中です!
若岡さんの旅の動向をぜひ、リアルタイムでご確認ください。

またWeekly WAKA! - 今週の若岡と称して、若岡さんを毎週追いかける動画コンテンツも予定しています(配信はゆるやま!YouTubeチャンネルにて)
ぜひお楽しみに!

ゆるやま!からのお知らせ

若岡さんから依頼をいただき、今回のGreat Japan Trailは、前回に引き続きゆるやま!が映像制作を担当します。

本プロジェクトに関して、下記に該当する方を大募集しています!

帯同カメラ
  • 登山、ロード走、宿泊など、一連の管理を自己完結できる方
  • 若岡さんの旅を邪魔せず、なおかつコミュニケーションを取りながら旅の行く末を記録できる方
  • 撮影データを迅速に共有いただける方
定点イメージカット撮影
  • イメージカットにつかえるような映像作品寄りの撮影が可能な方
  • ドローンを使った撮影や、シネマライクな撮影が得意な方
  • 山中の行動や、その他計画に慣れている方
映像クリエイター
  • こちらから提供する素材で、ショートダイジェストムービーを作成可能な方
  • 本編となる30分動画の編集をお手伝いいただける方(Final Cut Pro ベース)

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前回制作した映像は下記よりご覧ください。
今回の映像作品はYouTubeノリではなく、ドキュメンタリーに特化した映像作品に仕上げる予定です。

VIDEO - 2021 Re: 日本山脈縦走 Vol.1

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